2022年4月4日号

原曲の持つ生命力は変わらない
「ロシア民謡は原点」と50年歌ってきた岸本力さんにとって、ロシア・プーチン大統領によるウクライナ侵攻によって、ロシア歌曲を歌い続けることに、当初は混乱をもたらしたようです。しかし、岸本さんは「戦争はダメです。ウクライナ侵攻は絶対に許されません」「平和を祈って歌います」とウクライナ情勢下で語っていただきました。
今号1面、3面で取り上げているロシア音楽について、どうも旧ソ連の音楽をひとまとめにしていたようです。ロシア民謡として親しんできた曲の中には多くのウクライナの歌があります。

3/21号の紹介曲の「小さなぐみの木」、3/28号愛知の合唱団ミールが集会で歌った「広きドイエプルの嵐」、

音楽センターに問い合わせが殺到しているという「キエフの鳥の歌」(うたごえ喫茶ソングブック828+に掲載)、お馴染みの映画「禁じられた遊び」の主題歌「愛のロマンス」など、日ごろ親しんでいるものが多いですね。
特に「キエフの鳥の歌」は話題になっているようですね。
3面の「われニャガ」もこの曲を取り上げてます。
あいにくと合唱譜は、以前太田真季さんのアルバムに添付された金井信編曲のものが残っているぐらい。
岸本さんの50周年記念バス・リサイタルが6月3日に開催されます。

詳細は3面です。
このリサイタルでは、新情勢のもと、新たに探し出した曲もプログラムに加えられています。


3・11を忘れない ウクライナに平和を
Ⅳ
「ウクライナに平和を」仙台市民集会に参加した宮城のうたごえは「ウクライナは滅びず」などを演奏。
会場には父親がウクライナ人、母親はロシア人という県内在住の女性も参加して「早く戦争が終わってほしい」と訴えていました。
こちらは宮城のうたごえの呼びかけで、音楽センター前の駐車場でアピール行動。

ウクライナ国旗風の横断幕、同カラーのマフラーなどをつけて「キエフの鳥の歌」などを演奏、こういう小さな思いが世界中に大きなうねりになったらいいな、と願いつつ。

埼玉合唱団は、与野本町駅前でこちらでもウクライナカラーを身に着けた街頭行動を行いました。
戸田公園駅前では野の花うたう会らが「3・11震災を忘れない」「ウクライナに平和を」のスローガンで行動に取り組みました。
東日本大震災で被災していまだに故郷に戻れない人々にとって、ウクライナの人々の姿が11年前の自分に重なるそうです。
この宣伝行動を行っていると、二人の高校生が「一緒に参加する」とスタンディングボードを持って一緒に「翼をください」を歌いました。
その声はきれいで遠くまで響いたそうです。

また、小さな女の子がお母さんに連れられて握りしめた100円玉を募金箱に入れてくれました。

なんともほほえましい光景の宣伝行動ですね。

最近、至る所でこういうウクライナカラーを見かけます。
ある役所の窓口に飾ってる折り紙の花が黄色と青色でできてまして、「ですか?」と聞いたら「そうです」って笑ってました。
東京のうたごえは日本原水協の読みかけによる新宿駅前行動に参加。うたごえ旗を高々と掲げて、宣伝行動をおこないました。
こちらはロシア大使館に届けるという横断幕への「私のひとこと」の寄せ書き。
JR国立駅前では5回目のスタンディング。
三多摩青年合唱団の箱崎さんは新曲「Stop War」を作り、こういう場所やYouTubeなどで歌えるように準備中です。
長野合唱団は参加した第3回春を呼びコンサートでは、福島原発事故津島被害者原告団の三瓶さんが講演をおこないました。
こういう時期ですから、主催者は講演に来てくれるか心配だったようですが、「どんな状況でも必ず行く」という力強い返事だったそうです。

コンサートでは、福島・原発問題を取り上げた「バック・トゥ・ザ・フーちゃん」のDVD視聴も行いました。

京都ひまわり合唱団では、レッスン前の時間を使って「原発施設への攻撃は許せない」などのプラカードを掲げで訴えました。
アコーディオン伴奏でうたったのは「We shall overcome」
緑と海の合唱団は、毎年団を上げて原発反対宣伝行動に、今年はウクライナ侵攻への抗議を込めたW宣伝行動をおこないました。

ロシア民謡を歌い続ける
合唱団白樺は「ロシアの曲」を歌って70年。やはりロシア歌曲・民舞などに取り組んできただけに、プーチンによるウクライナ侵攻には、なぜ未然に防げなかったのかという口惜しさと無念さにあふれています。

30年前のソ連崩壊直後にも、同じような葛藤があったそうです。

白樺のコンサートの魅力は素敵なハーモニーと60余のレパートリーをもつ民族舞踊。
さらに東京バラライカアンサンブルとの共演も話題になっています。
選曲では、基本的に国や個人を讃える歌は避けて、人々が歌い継いできた曲、民衆のために作られた曲を翻訳して歌い広めてきました。
その行動は、震災被災地への支援、ウクライナ侵攻への抗議にも。
東京のうたごえ行動に参加した時も、民族衣装の花冠を頭につけていました。

同団は3年越しの団創立70周年記念定期演奏会をこの7月に開催予定です。


キエフの街と歌の思い出
1984年の北海道合唱団のソビエト公演に参加された方からの「キエフの鳥の歌」の発掘談です。

この楽器がバンドゥーラ。ナターシャグジーさんのウクライナ支援のチャリティコンサートでの紹介によると重さが8㎏、弦は63本もあるそうです。(上記YouTubeの19:00ごろ)


こわしてはいけない を歌う集い
戦没画学生慰霊美術館無言館の庭から

混声合唱組曲
「こわしてはいけない」をうたう集い
4月17日(日)14時

演奏予定曲は「こわしてはいけない」から1・2・5・6章、「キエフの鳥の歌」「ウクライナは滅びず」

無言館主窪島誠一郎さんがロシアの傍若無人の侵略行為を憂いて、各方面の協力でこの企画を立てました。

日本からはるか離れたウクライナに「抱きしめよう」の想いを響かせようとしています。

窪島さんは御年80を超えて、最近は「生ききる」という言葉を口にされています。
これまで何度となく大病を患い、乗り越えてきた方だけに、その言葉の重さを感じます。

いずみたくの音を楽しむ

いずみたくが亡くなってもう30年もたつのですね。
いずみたく没30年
メモリアル企画
ぼくたちの音を楽しむ
いずみたくと中村八大の歌物語

4月23日・24日
東京・博品館劇場

いずみたくといえばどんな曲を思い浮かべますか?
「見上げてごらん夜の星を」はいずみたくが初めて取り組んだミュージカルです。
1960年に初演。
1963年の再演から坂本九が出演。同時に映画化もされています。
中村八大というと永六輔との「八六コンビ」も有名ですね。
いずみたくとのコンビでは「遠くへ行きたい」「明日があるさ」など、この企画ではこうした懐かしい曲がいっぱい。
ここに今陽子、78歳の今も精力的ステージの尾藤イサオらが出演します。

    • ウクライナ我等の政府声見えん
      老ガイ
    • 悍ましき死後生き返る防空壕
      金倉俊嗣
    • 平和は永遠に宝田明逝く
      春野一郎

皆さんからの投稿をおまちしております。


合唱体験会&うたごえ喫茶
コロナ禍で2度延期したイベントをやっと開催できました。
4月17日にはコンサートも予定しています。
いま熱戦真っ最中のセンバツ高校野球も観客を入れており、withコロナ対策もかなり身についてきているようですね。

核兵器のない世界へ、語り部活動
修学旅行生への被爆体験語り部活動については以前本紙でも取り上げております。
「平和の旅へ」の演奏と、渡辺千恵子さんのビデオメッセージの言葉を伝える、というプログラムです。
今年度は、小・中・高校生1371人に語り部活動を行いました。

埼玉合唱団
創立60周年記念演奏会
3月5日
埼玉会館大ホール

太田真季さんの鑑賞記を掲載しております。
これを読みながら、YouTube配信もごらんください。無料です!


連載1278回 法を変えるということ
3/28~4/3
いぬふぐり
命のかぎりあなたは歩き続けた 浜島康弘名古屋青年合唱団
(37)憧憬の氏家真知子
バイカル湖のほとり 井澤武二東京・合唱団白樺
岐阜県・宮島照子