東京混声合唱団定期演奏会第240

東混60年創立指揮者・田中信昭の現在 を聴く(10月7日、東京文化会館小ホール)
目が点になりながらも  刺激的
東混60年Facebookより

東混60年Facebookより

東混創立者田中信昭氏指揮で、この日は野平一郎の混声合唱とピアノのための「転調するラブソング」(詩:大岡信。015年委嘱作品)と、若い書き手平川加恵委嘱初演 混声合唱とピアノのための「音の歳時記」(詩:那珂太郞)。そして世界のメロデイ-愛唱歌より-(ジェリコの闘い、ロンドンデリーの歌、カリンカ、ソーラン節)。
最初の「転調するラブソング」は、目が点。Ⅰ.さわる、Ⅱ.マリリンの二つの詩は126行もある(30分を越える演奏)。詩だけに向き合っても難解な詩が合唱になって…。
野平氏の解説に、「学生時代から60年代の大岡信の詩に惹かれていた。そこに現代日本語詩としての最も完成された形式、言葉と感性が最も緊密に結合した構造の一つがあるのではないかと思っていた。しかし、当時はこの言葉の洪水を、どのように音楽的に処理したらいいの良いのか皆目見当もつかなかった」
「言葉の洪水」という表現に、ちょっとほっとする。
しかし、「1999-2000年に「大岡信の2つの詩」という合唱曲を書き、…私を魅了するこの2つの詩(Ⅰ.さわる、Ⅱ.マリリン)の音楽化を実現させたいと思った…」。
ここからは、私とは世界が違う、と思ってしまうが、聴いていて楽しかった。“わかる”の門前だが。
あまりに私には“畏敬”な一曲目につづく次の「音の歳時記」はただただ、心地良く美しい曲を楽しみ、“世界のメロディ”は、東混の響きに浸った。
「カリンカ」など、カタカナの「カリンカ」ではない、ロシア語の響き。
それにしても田中信昭氏は米寿。エネルギィシュかつ自在な指揮に見とれる。
「演奏はうまいか下手かではないの。恋愛と同じ、好きか嫌いかなの」、はもう何十年も前のインタビューでの言葉だが、プロ合唱団を興し、育ててきた人、そして60年、桂冠指揮者はかっこいい。

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