2014年9月 のアーカイブ

響きあうカザルスの心(おもい)

2014年9月19日 金曜日

音楽センター主催、うたごえ新聞社後援
トークと音楽でつづるパウ・カザルスの世界
響きあうカザルスの心(おもい)

両雄を前に短くも緊張の時間
司会をしました

DSC_2536一昨17日夕は、前に紹介した“トークと音楽でつづるパウ・カザルスの世界  響きあうカザルスの”本番。NHK連続テレビ小説「花子とアン」の時代の雰囲気をかもしだす自由学園の明日館(都内)で、私にとっては初の音楽センター主催、うたごえ新聞社後援企画。

ヴァイオリニスト松野迅さんがガザルス記念財団からオリジナルスコアを贈られ、ピアニスト榎田匡志さんと演奏(世界初演であろう)した「ソナタ ニ長調~ピアノとヴァイオリンのための~」をCD「カザルスへのオマージュ」に収めたのを機に、うたごえ新聞連載執筆でもおなじみのジャーナリスト伊藤千尋さんとのトークと音楽でさらにカザルスの世界を伝えたいと行った。

“響きあうカザルスの”、心と書いて「おもい」と読む、司会のわずかの時間だがここで間違えては、と前夜何度も頭にたたきこんで。

リハーサル、打ち合わせでは瞬時に変わる展開にドキドキ、ハラハラ。

松野迅さん、榎田さんの「ソナタ…」44分はリハでも。リハと本番、弾き方の違いになるほどこのように、と感じ入る。

「ソナタ…」に
「鳥の歌」と「第九」のモチーフ

本番。松野さんは楽曲分析も交えて。

DSC_2577それは、本番で語られた伊藤千尋さんのお話とも深くからむ。ジャーナリストとして取材した国は現在71カ国という伊藤さんは1990年のスペイン、“バルセロナオリンピック”も取材されている。その時のお話。

開会式ではベートーヴェンの「第九」が演奏され、閉会式はもちろん、「鳥の歌」が演奏された。実は1936年、ヒトラーがベルリン・オリンピックを開いたその年、これに対抗して、バルセロナで人民オリンピックが開かれ、その開会式でカザルス指揮、バルセロナ市民楽団で「第九」が演奏されるはずだった。が、そのリハーサル中に、クーデターがおこり、人民オリンピックは幻と消えた。カザルスは「平和が戻ったら、またここに集い、演奏しよう」と告げた。しかし、ついにそれは叶わなかった。カザルスは亡命し、他国で亡くなった。

この話から実は「ソナタ…」の中に、「鳥の歌」と「第九」第2楽章のモチーフが繰り返し出てくることを読み取っていた松野さんが、演奏の前に、そのことを譜例をもとに解説。

松野さん、伊藤さん、お二人ともいくらでも出るだろう話の箱。故郷カタルーニャの風土、気質を深く愛したパウ・カザルス、フランコ独裁政権に抗議し、人生の大半を異郷で過ごさざるを得なかった。カザルスが音楽・音楽活動に込めて世界平和を求めて行動した生きざまを、松野さんは演奏と曲分析から、伊藤さんは取材したカザルスの足跡をもとに語った。

「人はだれでも良心を持っている。
しかし、それを行動に移すには勇気がいる」カザルスのことば

DSC_2584今日私たちはカザルスから学び引き継ぐこと、それは感性を研ぎ澄まして時代に敏感になり、行動すること。松野さんはカザルスの生き方をステージ、演奏を通して伝えていくと語った。

伊藤さんはカザルスのことば「人はだれでも良心を持っている。しかし、それを行動に移すには勇気がいる」を紹介し、同じことを語った韓国の金大中元大統領の「行動する勇気を持て」を紹介。そしてこう語った。「行動に移すには勇気がいる。しかし、カザルスや金大中、世界の行動する人々を思い浮かべよう、そして行動に移すため、日々、感性を研ぎ澄まそう」。

コンサートとも違う、講演とも違う、まさに“トークと音楽でカザルスの世界、心を響きあわせた夕べとなった。

「とても貴重な時間が過ごせた」と何人かから直接、また電話などで感想を伝えてもらい、「行動する大切さ」をここでも思う。

青年劇場「羽衣 House」

2014年9月15日 月曜日

“福島の今”
そして私たち、私は
青年劇場第111回公演「羽衣 House」

20140920SeinenGekijyoこの連休、14日は青年劇場の「羽衣House」と15日はオペラシアターこんにゃく座の「おぐりとてるて」を観る。

「羽衣…」は“福島の今”を描く。

原発事故後、2013年夏、放射能の影響から逃れようと避難している福島原発から300㌔離れた民間の保養施設“羽衣House”が舞台。“原発”を保養施設から描くという、篠原久美子の本と青年劇場の制作に注目する。

放射線の影響を特に受けやすい子どもたちは少しでも、一時でも放射能の影響下から離れることが必要と、そうした民間の施設やプロジェクトチームがあることを私が知ったのは昨年、“福島の子ども保養プロジェクト NPO法人沖縄・玖美の里”のことを紹介した時だった。帰還困難区域でなくても所によって線量は高く、被曝の危険と、常にその危険を意識して暮らさなければならないストレスがたまる親も子も、少しでも解放するためにととりくまれている。

物語の“羽衣House”は避難者を受け入れている。ある日、夜のマジックショーと焼き肉パーティが準備がされていたHouseが何者かによって荒らされた。泥棒、それとも羽衣Houseのサイトに書き込まれていた「天誅、下しに参る!」のしわざ…。犯人捜しと共に大人たちは子どもたちが帰るまでに元通りにしようと奮闘する。

その中で語られる様々な思い、葛藤。避難する、しない。元の地に帰る、帰れない。単純に二者択一しようとするところから滑り落ちる現実、分断。原発事故によって幾重にもねじれた歪みが福島の人々の上にのしかかる。笑いも交えながらの描き方もうまい。そして、“羽衣House”の管理者の優しいまなざし。それはまさに“羽衣”。本当はだれのなかにも有るはずの羽衣が引き裂かれた。だれもが持つ自由に生きる羽衣をもう一度というメッセージととれた。

篠原さんは、「『手のひらに太陽の家』をモデルとした場所を設定すれば『呉越同舟』ができるかもしれないと思ったのです」とパンフレットに、こうも書いている。

「よく、関係ないと思っていることがいつかわが身にふりかかると言われたりしますが、私はどうも、人というのは、わが身に降りかかるから動こうとするのではなく、『本当は知っていたのに動かなかった』と激しく自覚した瞬間から、動き始めるのではないかと思えてなりません。

『原発』も『平和』も『人権』も『憲法』も、今、大風に吹かれて揺れている小さな舟のように思えます。その舟のなかで、分断されたままでいるのは、実は敵同士でもなければ、大風が起きたのは単なる自然現象ではないかもしれません」。

青年劇場はすでに30年も前に、原発の危険とその経済構造を「臨海幻想」(今回の演出ふじたあさやの本)を上演し、事故後の2012年5月に、それに若干の手を加えてふじた演出で「臨海幻想2011」を上演している。

様々な分野で“原発・福島”が描かれている。青年劇場のアプローチも刺激を受けた。

オペシアターこんにゃく座の「おぐりとてるて」

2014年9月15日 月曜日

説教節がオペラに
オペシアターこんにゃく座の「おぐりとてるて」
力強い土車を引く歌
「えいさらえい えいさらえい」

20140920Konyakuzaもう一つの、オペシアターこんにゃく座の「おぐりとてるて」。

今回、こんにゃく座がとりあげたのは説教節「小栗判官照手姫」より。代表、作曲の萩京子は、「ギリシャ悲劇…物語の原点、演劇の原点。人間の欲望と向き合うとはこういうことか…と考えるなか、突然ワープし思い出したのが『小栗判官照手姫』」という。

中世、戦乱の世、人々はそのなかでも何か希望を見いだそうと説教節に聴き入る。舞台に説教師が登場して、京都の貴族の家に生まれたおぐりと相模の国の姫てるての物語「小栗判官照手姫」を始める。

大蛇の化身に恋をして都を追われたおぐりは、運命の糸にあやつられ、やがててるて出会う。策謀うずまくなか、おぐりは毒殺され、てるては売り飛ばされ、遊女にされるところを下働きとして耐える。黄泉の国の閻魔大王のはからいで、目も見えない、耳も聞こえない、物も言えない餓鬼阿弥仏と名付けられて生還したおぐりは、閻魔大王の「餓鬼阿弥仏を土車に乗せ、一引千増供養、二引万増供養」と引き、藤沢・熊野本宮の湯の峯の温泉にいれてやってください」との告げで、人々に引かれ、奇しくもてるてが店の前へ。てるては目の前の餓鬼阿弥をもしこれがおぐりならと2日の暇をもらい引く。その後も人々に引かれ、やがて湯の峯につかったおぐりは元の姿に復活し、てるてと結ばれる。

説教節を聞き終え、人々はまたつらい日々へと戻る。

10人の歌役者が難役もとってはかわり歌い演じる。鮮明な台詞(歌)、音楽に乗ることで心情が豊か表現される。人々が土車を引く時、歌われた「えいさらえい えいさらえい 供養の車じゃ お引きあれ」は、喜哀こもごも民衆の力を伝え、終演後も一節が心に響く合う。ユーモアと残酷と人間以外にも大蛇、馬、閻魔大王に、餓鬼阿弥と奇想天外だが、人は何をし、どこに向かうのか、ということを考えさせる。

実は、こんにゃく座のオペラは、時に難解だった私だが、これは堪能した。

心地よい栄養を得て、連休は過ぎ、時間との格闘の日々。今週は休刊週だが、実はこの休刊週には、季刊「日本のうたごえ」166号編集にとりかからねば!

ハンナ・グレースさん 9/22号

2014年9月12日 金曜日

「俳優の仕事、日本が好きです」
ハンナ・グレースさん 9/22号

9月12日(金)

IMG_21789/22号発送。1面は、俳優・ハンナ・グレースさん。NHK連続テレビ小説「花子とアン」、「赤毛のアン」の翻訳家村岡花子をモデルにした主人公花子に英語の魅力を目覚めさせた人、「Anne of Green Gables(邦訳『赤毛のアン』)」を手渡したスコット先生役。

この取材は、ドラマもひとつのきっかけとなって今大ブレイクの「広い河の岸辺~The Water Is Wide~」(日本のうたごえ祭典inみやぎでクミコさんと全国女性合同で演奏)を歌うクミコさんへのインタビューから。

「花子とアン」では大事な役どころ。 スコット先生が歌う「The Water Is Wide」にも惹かれていたので、インタビューは楽しみにしていた。

そして、目の前に現れたハンナさん。当然と言えば当然だが、若い!きれい!

「日本の小説や映画に惹かれた」と言われるだけあって、よく観ておられる。松田翔太、生田斗真、亀梨和也…。そしてこのことば「生きるということは簡単なことじゃない。正直に生きていく中で美しいこともあれば、そこには痛みもある…。それを表現していく…」に、俳優スピリッツが伝わる。

併せて、テレビでのスコット先生の写真もほしいとNHKに依頼すると、送られてきたのは後ろ向き(…)。「Anne of Green Gables」を手渡すシーンの写真を、と言ったが…。再度、NHKに連絡して、というエネルギーはなく…。

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「なんで後ろ向き?」との声、また、…。

ハンナさんは25日、東京での“クミコと歌う 大うたごえ喫茶”にも出演し、「The Water Is Wide」も歌われる。

インタビューで、「うたごえ喫茶、わかります?」と聞くと、同席のこの大うたごえ喫茶仕掛け人の一人、エーちゃん(斉籐一正さん)が、「カラオケと違い、みんなで一緒に歌う…」(商社マンで鍛えた英語で)と説明。「ああっ」と話が進む。(記念に、とエーちゃん、ハンナさんとツーショット)

会沢芽美さんのステージを観る

2014年9月8日 月曜日

沖縄からの発信
久しぶりに会沢芽美さんのステージを観る
いったいいくつ? “沖縄”を伝える・意志の声

9月8日(月)

IMG_2240月曜日は原稿締め切り日だが、会沢さんからのメールで、埼玉・鳩ヶ谷でのコンサートに。“沖縄からの声”、辺野古新基地反対を伝える歌と語り一人芝居「『命の海の話』…辺野古2005・そして今」を聴く。

会沢さんは、沖縄・読谷村にあるうたごえペンション“まーみなー”(沖縄のことばで“もやし”)のオーナー&シェフ。ペンション経営の傍ら、全国へ、演奏活動に出かけ、今回は埼玉で3カ所。

“まーみなー”を訪れた人は承知の、芽美さんの手料理と歌、そして読谷村の戦跡をガイド。この日の公演も、“まーみなー”で泊まった鳩ヶ谷新婦人の源けさみさんらが企画。

灰谷健次郎編「先生あのね」から3曲、「赤田首里殿内」、「芭蕉布」「タンポポ」など“沖縄”を歌った歌の独唱。読谷村の戦跡から「チビチリガマ」の解説と歌。

そして、“沖縄のおばさん”がわかりやすく沖縄の問題-基地・沖縄戦-を伝える芽美さんの“歌と一人語り”(一人芝居)。今回は「『命の海の話』…辺野古2005…そして今」として、焦眉の辺野古新基地反対運動を採り上げていた。 2005年、一度断念させたかに見えた新基地建設、それが今また…と現在を伝える。〽まもるというのなら何をまもる この青い空と海 命をまもる…と歌う「We are not Your Target !」は、もう何年も前に作られたが、今もそのままの歌詞で歌わなければいけない現実。その怒りにも似た叫びが、月曜の昼間の公演でも会場を埋めた100人余の心をつかんだ。

公演後、「明日は福島・南相馬に行く」という芽美さんと短い会話。

源さんからは「いつ、載ります? 楽しみにしています。読者です」とうれしいことばをもらう。

中尾富子さんのお墓参り

2014年9月7日 日曜日

調布の延淨寺に中尾富子さんのお墓参り

9月7日(日)

CIMG2289CIMG2292朝11時に、京王線「つつじヶ丘」で待ち合わせ、中尾富子さんのお墓参りに。 中尾さんは中央合唱団5期生、元常任団員で、声楽家、うたごえの教育者として全国に指導に赴き、全国協議会の常任委員、うたごえ新聞編集委員としても活動。1年前の昨年9月7日病気のため永眠された。

中尾さんからは「運動のためにと日本のうたごえ全国協議会に」と遺産の一部が贈られた。そのお礼も兼ね、中尾さんがかつて指導されていた時代の調布狛江合唱団、文京新婦人コーラスあしたばのみなさんと一緒に、高橋正志日本のうたごえ全国協議会顧問(中尾さんからの推薦で中央合唱団常任団員になった)と全国協議会副会長として轟志保子中央合唱団団長と私が参加した。

浄土真宗本願寺派延淨寺にある墓群のひときわ大きな墓石に、たくさんの戒名が並ぶその一つに「釋尼富聲信女」と刻まれていた。

「お寺が近くでよかった。時折、行くことができる」とゆかりのみなさん。

花と水備えて、「納骨の時、みんなで『花をおくろう』を歌うと住職が、こんなことは初めて、すばらしい歌、と言われた」という話から、一同で「花をおくろう」を歌う。

ガイヤ・フィルハーモニック・クワイア第10回定期演奏会

2014年9月4日 木曜日

松下耕 音楽監督・常任指揮者
ガイヤ・フィルハーモニック・
クワイア第10回定期演奏会

CIMG2295その後、渋谷へ。ガイヤ・フィルハーモニック・クワイア第10回定期演奏会を聴きにさくらホールへ。この音楽会は、うたごえ新聞大熊啓編集委員が、「ぜひこれは聴いて、うたごえ新聞で紹介できないか」との情報から。
たしかにプログラムも興味深く、さらに音楽監督・常任指揮者の松下耕氏のメッセージにも惹かれた。
「記念すべき第10回の演奏会で『人類の負の遺産』を採り上げたのは…」、このようなプログラムを「『組まなくてはならなかったのは』のは、この世の動向に対する危機感からに他ならない」、「第2次世界大戦の終結からたった69年。…戦争の記憶が生々しく残っているはずのこの年に、再び『武器には武器をもって応酬せよ』という気運が高まっている。」「ならばわれわれも武器を持とうではないか。『歌』という武器を。」
三善晃「Agnust Dei」、信長貴富「『廃墟から』無伴奏混声合唱のために」、「死んだ男の残したものは」「Imagine」「さとうきび畑」。新実徳英「混声合唱とピアノのための『祈りの虹』」。「廃墟から」は、テキストは原民喜、井上光晴・吉田嘉七、沖縄の伝承詩で、第二章「ガ島前線」で「君が代」が出てくる。プログラムに「おびただしい戦死者を出したガダルカナルの戦い。…薄れゆく意識の中にあってさえ口ずさまれる君が代。…」。
大曲。ユース・クワイアの若い力も感じるみごとな響き。(ピアノ:前田勝則)
さて、これをどう企画するか。まずは松下氏に会おう。

池辺晋一郎さんの指揮とお話

2014年9月4日 木曜日

あらためて多彩な音の調べに酔う
池辺晋一郎の指揮とお話による
東京混声合唱団スペシャルコンサート

9月3日(水)
CIMG2293夕、小金井へ。東京混声合唱団を聴くこともわくわくするが、さらに今夕は東混の池辺晋一郎委嘱作品他で池辺氏の指揮でという。聞き逃してなるものか、と出かけた。そして、帰り。2時間という時間を忘れて演奏に浸った至福の時。どんどん次の曲への興味がかきたられて聴き入った。反芻しながら帰る。
「五つの無伴奏混声合唱曲 Little by Little(少しずつ)」。詩は木村光一・池辺晋一郎、名取和彦、片岡輝、吉行理恵、広渡常敏。なかでも「Listen,you can hear“Joe Hill”」(常渡)。「パンだけでなく、バラも」。山ノ木竹志さんもよく語っていたなジョー・ヒル。
「MEET THE CHORAL BEATLES」。ビートルズナンバーからの編曲5曲、訳詩は池澤夏樹。合唱になって厚いサウンドの「Hey Jude」「Yesterday」はもう最高。
「窓の声、光の声 無伴奏合唱のたるに」(小池昌代)。
そして、「風の子守歌」も入っている別役実詩「混声合唱曲集 六つの子守歌」。これは曲が進むごとに深さを感じ、最後の「眠っちゃいけない子守歌」は心の中で何度も響きあう。
この東混の試みと池辺氏の音楽、これは企画化したい。